2021年12月のことば
心は形にあらわれ
形は心をつたえる
【住職感話】
寒くなり報恩講の季節に入りました。今年の報恩講は、開基釋祐昌五百回忌法要を兼ねてお勤めいたします。「心は形にあらわれ 形は心をつたえる」と言われます。法要のお陰で、ようやく西勝寺という寺号(寺の名称)に込められた心を見つけることができました。
振り返れば、祐昌師は、大永元(1521)年に命終されたことのみが明らかで、もと赤松の一族、また播州後藤氏の一族とも伝えられます。武士であった祐昌師は、戦(いくさ)に敗れ、仏様の心(南無阿弥陀仏)に出遇って、戦のない世の中を願われ、出家得度(世俗の生活を捨て僧侶となる)して、蓮如上人のお弟子になられました。西勝寺の「西」は、西方浄土を表しています。「浄」は「さんずい(水)」に「争う」と書きます。「浄土とは、争いを水によって清め流した世界(国土=くらし)」です。世俗を超えた争いのない勝れた国土、すなわち浄土を願って、西勝寺と名付けられたのです。
また、一昨年前、第九世、第十世、第十一世住職の顕彰碑の銘文を読む機会を得たことから、銘文の内容を入れた西勝寺の歴史を伝える説明版を作りたいと思い、また、境内に寝かしていた本堂棟鬼瓦を見栄えよく安置したいと思っていました。これらは、法要の記念事業として、多くの寄進者を得て、間もなく完成する運びです。
惟えば、仏様の心と出遇われた祐昌師の心が西勝寺という寺号という形にあらわれ、仏様の心と出遇われた先達の心が顕彰碑や鬼瓦という形にあらわれ、私に仏様の心(南無阿弥陀仏)を伝えてくださっていたのです。