葬儀で泣いてくれる人が 一人でもいたら、 亡き人はお幸せな人

葬儀で泣いてくれる人が
一人でもいたら、
亡き人はお幸せな人
釋祐順
[住職感話]
先日、ある経営者の葬儀で、従業員のすすり泣く声を聞かせていただきました。近年、コロナ禍もあって家族葬(実際は親族葬)が加速化し、会社関係の参列者をほとんど見受けられなくなってきました。家族葬を希望する理由に、
1. 故人を知らない「義理参り」は無用。
2. 近親者のみで故人と向き合ってしっかりとお別れをしたい。
3. 弔問者の接待や時間の確保などの煩わしい事を省きたい。
があると言われ、御遺族のお気持ちがわからないわけではありません。
しかし、会社関係の方々も十分故人を知っていらっしゃるし、故人と向き合ってしっかりとお別れをしたいと思っている方々もおられます。
 ともすると、従業員の方しか知らない故人の一面もあります。たまたま通夜の直前に私が聞かせてもらったところでは、涙されていた従業員の方にとって亡き人は、いつも温かい笑顔で迎えてくれて、涙もろく人情味のある親のような存在だったそうです。参列された他の従業員の方々からも感謝の言葉が次々と溢れました。
また、地域においても、若いころから苦労されたが、人徳者として名を馳せるお方だったとも聞かせていただきました。
葬儀は、このような御遺族が知りえなかった故人の人間関係を垣間見ることができる、またとない機会となります。
葬儀で泣いてくれる人がいる亡き人は、お幸せな人だと思わせていただきました。
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