仏教は 自分が見えてくること【お寺の掲示板】

2025年9月のことば
仏教は
自分が見えてくること     
カッツ・ツネ
【住職感話】
去る5月30日、大谷婦人会春の大会で「ピュアランド」の上映会が開催されました。この映画は、「ニューヨークで暮らす浄土真宗の開教使、名倉幹師と、名倉師と一緒に暮らす91歳のおばあちゃん、カッツ・ツネさんの物語。彼らの日常を映像に収めることで、仏教の奥深さを世界中で広く届けること、さらに、生き詰まりやすいと感じる人の多い現代人に、すすーっと生きる方法を知ってもらうことを目的」とされています。
さて、「彼らの日常」とは聞法のことで、名倉師とツネさんは、毎朝静坐、正信偈のお勤め、御文拝読、法話という生活を7年間続けられました。ツネさんは、「仏教を聴き続けるうちに、いかに「自分、自分」と自我を振りかざして生きているか、不足不満で周りの人を差別する浅ましい根性を持っているか、そういうことが見えてきたんです。仏教というのは自分が見えてくることなんですね。」「何も知らずに死ぬところでした」と話されています。
では「自分が見えてくる」と何が変わるのか?ツネさんの変化を身近で見ていた夫のバーニーさんは「娘たちや家族にはいつも怒って生活しているように映った」「芯が強い、意志が強い、自分がしたいことをすることで、まわりとぶつかることが多かった。(しかし、)仏教を聞いてやわらかくなった」と話されています。
また、水上雅裕監督は「二人は、安心した表情で生活している。仏教を聞くのを熱心に取り組まれているのはなぜなんだろう。安らか、ゆったり、丁寧に生活している。(私も)そうなりたい」という映画製作の動機を語ってくれました。「自分が見えてくる」と不思議なことに、やわらかく、安心して、安らかで、ゆったり、丁寧な生活に変わってくる。さらに、きよらかな光り輝く世界「ピュアランド」(浄土)が立ち現れることを、この映画が見せてくれました。