供養とは
亡き人を思い出すこと
そして共に生きること
釋祐順
[住職感話]
「法事で一文字」をはじめて4年になります。静岡県のある住職さんから教えていただき、現在は私のアレンジも入れて取り組ませていただいております。
やり方は、参拝者に亡き人を思い出してもらって、紙に亡き人に相応しい漢字一文字を書いていただき、紙を仏壇にお供えして、最後に亡き人の忘れられない想い出を語っていただきます。
ところで、「亡き人が一番喜ぶことって何だと思われますか?」いろいろあるとは思いますが、私は、思い出しでもらうことだと思います。
なぜなら、先日、40代の息子さんがお母さんの17回忌で「飯」と一文字書かれて、「叶うなら、もう一度、お母さんのおにぎりとみそ汁が食べたい」と語られました。また、20代の孫娘さんがお婆さんの七回忌で「空」と一文字書かれて、「お婆ちゃんの後ろには、青空が広がっている。隣の家のお婆ちゃんと日向ぼっこしながら延々とおしゃべりしているお婆ちゃんの姿を思い出した」と語ってくれました。それを聞かれたお母さんやお婆さんはどんなにお喜びになられているかを想像し、目頭が熱くなりました。
そして、御遺族は今も亡き人と共に生きていることを確信しました。
供養とは、梵語プージャーの訳で、元々の意味は仏・法・僧の三宝や死者に供物を供えることですが、一般的には慰霊鎮魂の意味合いが強いと思われます。
しかし、私は今「供養とは、亡き人を思い出すこと。そして共に生きること」が最もしっくりきます。