2022年4月のことば
戦争は地震じゃないから
やめられるはずやろ
原田大介
[住職感話]
ロシアとウクライナとの戦争が勃発しました。
ふと、表題の詩を思い出し、久しぶりに『さびしいときは心のかぜです』(編著者 原田大介・山元加津子 樹心社1995年)のページをめくりました。養護学校高等部に通う大ちゃんこと原田大助氏は、中等部のとき山元加津子先生に出会い、詩や絵の創作を始めます。短い言葉の中に自分の気持ちをストレートに表現した大ちゃんの詩は、多くの方々の感動を呼び、やがて映画『1/4の奇跡』(2007年製作)に出演されました。
この詩は、大ちゃんが戦争のドキュメントを観たことと、阪神淡路大震災(1995年)が起きたことを踏まえて生まれた詩です。地震は天災。これは人間の力では起こしようがありませんし、止めようもありません。しかし、戦争は人災。これは人間の力で起こすもので、だからこそ人間がやめられるはずなのです。
さらに、大ちゃんは、
「悲しくつらい気持ちです 人が人を殺して それが正しいことなんて いったい誰が思うんやろ」
「戦争は 手と足じゃたりなくて 心まで持っていくんやな 大好きと思ったり 心は大事な ものやのにみんな持って いくんやな」とも歌います。かつて、「正義の反対は悪ではない。『もう一つの正義』だ」と教えられたことがあり、私の中にある正義感が大きく揺さぶられました。
大ちゃんは「戦争というもの自体がまちがっていると素直に感じている」と、山元加津子先生が語られています。