浄土は懐かしき魂の故郷【2023年9月の心に響く言葉】

浄土は懐かしき魂の故郷
金子大榮
【住職感話】
去る8月29日、第6回スペシャル同朋会を開催し、ニューヨークから名倉幹師(真宗大谷派北米開教師)をお迎えし、静坐と法話を賜りました。今回は、テーマ「浄土は懐かしき魂の故郷」のもと、「後生の一大事、いのちのあらんかぎり、油断あるまじき事」(道宗)を中心にお話しいただきました。
さて、座談会で御門徒Fさんから、「いつでも死んでいける心構えがなくてはいけない、と教えていただいたが難しいことだ。それはどういう心構えでしょうか」と質問がありました。名倉師は
道を歩いているときに、こちらは大丈夫なように道を歩いておっても、横道から酒の酔っ払いの運転する自動車が飛んで来てポンと当たって頭の骨が破れたら、その時死んでいるのです。それで、「後生を助かる」とは、「人間の世界ですから、いつ何時そういうことがあるかも知れません。よしそうであっても私はそれで申し分はありません」と心の解決がついていることが、蓮如上人の申される「後生を助かることなり」ということです。(山口益『宗教と平和』)
を紹介され、「死ぬのは嫌ですから、非情なる言葉です。私は自分に、
「申し分ないか」と問いかけております。「先々まだまだあると思っていますが、今生きておるか、今がすべてだぞ」ということです」と応えくださいました。名倉師が私にも応えよ、と促してくださったので、「私が帰る本当の故郷が見つかったということが、死んでいける身になったということです」とお伝えいたしました。浄土とは、安心して帰れる、今生を終えていける、懐かしき魂の故郷なのです。