手を合わせ 紡ぎ伝える ありがとう(2025年5月お寺の掲示板)

2025年5月のことば
手を合わせ
紡ぎ伝える
ありがとう
石高石材企画「供養をテーマの川柳」より

【住職感話】
供養(弔い)とは何か?この川柳が一つの答えを表しています。
「紡(つむ)ぐ」 を辞書で調べてみると、「1 綿や繭 (まゆ) を錘 (つむ) にかけて繊維を引き出し、縒 (よ) りをかけて糸にする。」「2 (比喩的に)言葉をつなげて文章を作る。多く、物語や詩歌などを作ることをいう。」とあります。亡き人の山あり谷ありの御生涯を、繭から糸を紡ぐように物語のように子や孫に伝えていく。そこには自ずと「手を合わせ」と頭が下がり、「ありがとう」と感謝の言葉が添えられます。
このたび、不思議なご縁で、5月11日に「母の日参り」を勤めることになりました。「母の日参り」とは、ゴールデンウィークから母の日にかけて、亡くなった母親の墓前を訪ねる新しい供養(弔い)の習慣です。一般的に「母の日」は、生きているお母さんに感謝の想いを込めて赤いカーネーションを贈ります。ところが「母の日参り」は、亡くなったお母さんに感謝の想いを込めて、お仏壇やお墓に白いカーネーションをお供えします。初めての試みですが、お寺に相応しい催しとして、参拝者と共に正信偈を勤めて、歌手羽生知央氏に、お母さんへの感謝の想いを込めて歌っていただきます。
私が楽しみにしているのが、竹内まりやの『いのちの歌』、「いつかは誰でも この星にさよならを する時が来るけれど 命は継がれてゆく 生まれてきたこと 育ててもらえたこと 出会ったこと 笑ったこと そのすべてに ありがとう この命にありがとう」という歌詞で、何度聞いても胸が熱くなります。