人生に善いも悪いもない そのすべてが愛おしい 【10月のことば】

人生に善いも悪いもない
そのすべてが愛おしい
住職 釋祐順
[住職感話]
「僧侶のためのグリーフケア連続講座(関西)」(リヴオン・尾角光美代表理事・主催)が、昨年10月22日のプレ講座からはじまり、当初4月に終了する予定だった最終講6回目の本講座が、コロナ禍のため10月1日にようやく修了することができました。
グリーフケアとは、「死別などによる喪失と回復との間で揺れる人への支え」を意味します。
第1講で、私の目標(マイゴール)を思い切って
「感情に善い悪いはない。どちらも大切に味わう。そのために、自分の心にも、相手の心にも、一歩踏み込む」と設定しました。
当初は、半信半疑だったのですが、講座を修了した今、これまでのすべての出会いや出来事は、自分が自分を知るため、そして自分が自分になるためのご縁だったことに深く気づかされました。
実は、17年前、父が亡くなった時、父が約束を破ったこと、父がすべき宿題を置いて逝ってしまったことから、裏切られた、見捨てられたことが許せず、怒り狂っていました(当時の自分自身はよく理解していませんでした)。その裏で、自分では無意識のうちに、「父に会いたい、寂しい、不安でたまらない」という気持ちを封印していたことに、グリーフケアそして仏教の学びが気づかせてくれました。
この失われた心の半身に気づき、認め、許し、取り戻し、統合していくことで、本来の自分に帰ることができました。そして、過去の自分の人生に善いも悪いもない。そのすべてが愛おしいものに変わりました。