死ぬのは怖くありません 本当に怖いのは「生きなかった」ことです【2024年8月の掲示板の言葉】

死ぬのは怖くありません
本当に怖いのは「生きなかった」ことです
ヴィクトール・フランクル
【住職感話】
「本当に怖いのは「生きなかった」こと」とは、どういう意味でしょうか。フランクルは「つまり、大きな意味で正しいことや大切なことをする機会を十分に生かさなかったとしたら、深い悲しみを感じると思います。」と言葉を続けます。これらの言葉は、われわれがなぜ生きるのか。そして、本当に生きるとはどういうことなのか。そういう大きな問いを放っています。
先月、人間の心は、二重構造になっていると書きました。それは、損得勘定と尊徳感情です。損得勘定の意味を少し広げてみると「善い、悪い」「成功、失敗」「勝った、負けた」「できる、できない」「役に立つ、役に立たない」等、あらゆるものを二つに分けて、自分にとって得な方、都合のよい方を選び、損な方、都合の悪い方を捨てることと言えます。
また、尊徳感情の意味を少し広げてみると、人生いろいろあったけど、特に嫌な辛い悲しい出来事が多かったけど、仏様からお育ていただいたお陰で、むしろそれらがあったからこそ、尊い、有り難い人生だったと思えるようになった、と言えます。
「本当に怖いのは「生きなかった」こと」「大きな意味で正しいことや大切なことをする機会を十分に生かさなかった」とは、損得勘定ばかりに心を奪われて生活してしまったこと。そして、大切な尊徳感情をおざなりにしてしまったむなしい人生ではないか。これでは、フランクル同様、私も「深い悲しみを感じると思います。」