2024年10月のことば
大切な故人へのお別れの言葉
あなたは最後に何を伝えますか
釋祐順
【住職感話】
私は枕経で御遺族の方々に、「長年のお付き合い、大切な故人へのお別れの言葉、あなたは最後に何を伝えますか。できればお葬式が終わるまでに、探して見つけてみてください」と提案しています。
先日、ある女性の葬儀を勤めさせていただきました。お父様からは娘でもあり、夫からは妻でもあり、娘さんからは母でもある方でした。通夜が終わった後、喪主の夫Aさんから、「最後の言葉決めました」と返事をもらいました。彼は翌日の葬儀のご挨拶で亡き奥様に対して「今までありがとう」と伝えられました。ジーンときました。
また、葬儀屋さんで働かれているBさんから、お棺の蓋を開けてお花を入れる際に、「最後の触れ合う場所です。存分にお別れしてください」とアナウンスすると、家族、親戚の関係性が垣間見えてくる。愛している、愛されていることが見えてきてグッとくる。ある奥様は、「お父さん寂しがり屋やから、(私が逝くのを)待っとける?」と仰って涙を誘われた、と話してくれました。最後のお別れの瞬間は、最後だけに思わず本心が出てしまうのでしょう。
実は、私が21年前に前住職・父を送った時に、別れの言葉を伝えられなかった、いや伝えなかったことが、未だに悔やまれるのです。精一杯生きた父に対して、労いと感謝の言葉、さらに「後の西勝寺のことはがんばるから安心して」を伝えたかった。だから、御門徒には、私のような後悔の無いように、このような提案をさせていただいております。