この目が物をうつさなくなったら目に、 そしてこの足が動かなくなったら、足に 「ありがとう」って言おう

3月のことば
この目が物をうつさなくなったら目に、
そしてこの足が動かなくなったら、足に
「ありがとう」って言おう
笹田雪絵
映画『4分の1の奇跡』より
この目が物をうつさなくなったら目に、
そしてこの足が動かなくなったら、足に
「ありがとう」って言おうって決めているの。
今までみえにくい目が一生懸命見よう、見ようとしてくれて、
私を喜ばせてくれたんだもん。
いっぱいいろんな物素敵な物見せてくれた。
夜の道も暗いのにがんばってくれた。
足もそう。私のために信じられないほど歩いてくれた。
一緒にいっぱいいろんなところへ行った。
私を一日でも長く、喜ばせようとして
目も足もがんばってくれた。
なのに、見えなくなったり、歩けなくなったとき
「なんでよー」なんて言ってはあんまりだと思う。
今まで弱い弱い目、足がどれだけ私を強く強くしてくれたか。
だからちゃんと「ありがとう」って言うの。
大好きな目、足だからこんなに弱いけど大好きだから
「ありがとう。もういいよ。休もうね」って言ってあげるの。
多分誰よりもうーんと疲れていると思うので…。
[住職感話]
実は今、2度目の突発性難聴の治療中です。
住職お元気ですか?と訪ねられた時、私は

「体は大丈夫なんだけど、耳が悪くて…」と答えてしまって、ハッとさせられました。

体の中に耳が入っていなかったことに、驚きました。

本来、耳も体も心も一体なのに、耳を機械の部品みたいに分離して扱っていたことが、自分の言葉からあぶり出されました。

耳にごめんなさい、そして、ありがとう、と伝えました。

私は耳で、耳は私でした。
自分の体の一部も、どうぞ、認め、労ってやってください。