2024年11月のことば
み光のもと われ今さいわいに
この浄き食をうく いただきます
食前のことば
【住職感話】
特別永代経法要では、今年も「おときクラブ」の皆様のお陰をもちまして、お斎をつくっていただけましたこと、厚く御礼申し上げます。メニューは、ひろうず・レンコン・しいたけの煮物、ほうれん草のおひたし、とろろ昆布、りんご、あんぱん、あげと豆腐のみそ汁にご飯です。お斎を召し上がっていただく前に、作法として合掌して標記の「食前のことば」を唱えてもらっています。
私は近年「み光のもと」に心打たれ、「もと」に注目しています。辞書によると①「本」主となるもの。②「基」物事の根本をなすところ。③「元」物事の起源。始まり。④「下」「上下の下」を意味し、また「統治や影響が及ぶ範囲」。⑤「因」原因。⑥「素」原料、材料、たね。と幅広い意味があります。つまり、「み光のもと」とは、「仏様が、主であり、根本であり、はじまりであり、私の上位であり・私を統理するであり、原因であり、素材である」という意味になります。
したがって、日ごろ私こそが「主であり、根本であり、はじまりであり、私が上位であり・私が統理するであり、原因であり、素材である」と思い込んでいるところを、「食前のことば」は速やかにひっくり返して、本来あるべき立ち位置に戻してくれるのです。言い換えれば、自分中心の世界観から仏様中心の世界観への大転換です。
「み光のもと」この一句によって、私の立ち位置が変わるだけで、ただ今幸いであることに満たされます。そして、高いや安いか、うまいか不味いかといった日ごろの食事から「この浄き食」に変わってしまうのです。